モッツアレラチーズ2 玖拾弐

冬場になって通勤にはトレンチコートを着ている。冬に比叡颪があって底冷えのする京都では勤め人にとってコートは必需品である。略式の部屋には基本暖房器具はない。膝に毛布でも掛けて仕事をするのが関の山だ。空調設備はもちろんない。服装において厚手のシャツとかラクダの股引などを着用して寒さを凌ぐしかないのである。しかし、若さ故か仕事で手が悴んだりすることはない。今日の勤務も午前中事もなく、昼休みに総務課に行く用があった。総務課に入って事務官の伊香さんに書類を手渡した。ふと部屋の中を見回すと応接用のソファーのところで鈴木事務局長と日野さんがオセロをしていた。僕が近寄って挨拶すると日野さんは1勝1敗だと言っていた。鈴木事務局長は面接のとき裁判所の寮に入らないかと勧めてくれたが、僕は部屋が広すぎるので寂しいというと怪訝な顔をしていた。鈴木局長は光頭会の会長のような、怪我ない頭をした人である。午後の仕事はこともなく終わり、コート姿の中野君が通路に吸い込まれていった。僕は今日6:30までに大阪城公園に行かなければならない。昇華学会の来年2月にある関西文化祭というイベントの練習をしなければならないのである。このイベントで僕は組体操の部に出場することになっている。組体操の練習で着る黄色いとレナート白いトレパンをバッグに入れて裁判所を出た。御池、河原町3条から橋を渡って京阪3条の駅に着いた。京阪3条の駅で空腹から駅弁を買い、大阪行の電車に乗り込んだ。電車にはちらほらと昇華学会青年部の人と思しき顔が幾人か見えた。席に座って弁当を食べていると顔見知りである昇華学会員の山本さんが前に立っているのに気が付いた。山本さんは機嫌悪そうに組体操のトレーニングの厳しさを仄めかしていた。大阪の駅についてグランドまで15分ほど歩いた。大阪城公園のグラウンドである。辺りはもう暗く照明灯が付いていた。集まった青年は1000人は裕に超えているだろう。オレンジのジャンパーを着た指導員が各地区のプラカードを持った係員の後ろに隊列を組むようにと拡声器でが鳴っていた。「そこ!すけないやないか!」と拡声器が鳴り響いていた。まだトレーニングの最初なので組体操は1部だけでほとんど基礎体力トレーニングである。腕立て伏せ100回、腹筋50回、スクワット50回という調子のメニューである。組体操の華は円塔である。今回の昇華学会の関西文化祭では業界初の全体主義的6段円塔を企てている。6段円塔のてっぺん取るのは上田君とだけ決まっている。6段円塔、5段円塔、4段円塔、3段円塔とそれぞれ分かれて組む。僕はそれ程体格は良くないが上背はそこそこあるので4段円筒の1番下を受け持つことになった。4,3,2,1の4人のうちである。4段の1番下では4人で上の6人の重さを支えるので足腰がしっかりしていないとかなり危険である。僕はふらついていた。大聖人の仏法を信心していてこんなことをすることになるとはという疑問が脳裏をかすめていく。すると「そこ、ふらついとるな!3段へ行け!」と言われた。組体操のトレーニングが終わって三々五々駅に向かった。帰りグランドの沿いにホットドッグのの屋台が出ていた。背後から拡声器で「買うなよー!買うなよー!」という声が鳴り響いていた。僕は腹が空いていたのでお構いなしにホットドッグを買い、ほう張りながら駅へと向かった。

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