モッツアレラチーズ2 捌拾捌

京都地方・簡易裁判所の所内の雰囲気にも慣れ、仕事はまだ手に付かないが初任者研修も終えた。初任者研修は本来京都本庁で行われるものであるが、裁判所職員は任用の時初級職、中級職、上級職などコースが違う。56年度の京都での裁判所職員中級職の採用は僕を入れて2名だった。もう1名は同じ高知県出身の青木君だが、青木君は遠く亀岡簡裁に配属となっている。そこで大阪高裁、大阪地裁、京都地裁、神戸地裁、奈良地裁などの管区の中級職採用者を集めて奈良の施設で研修が行われた。総勢30名程度だったであろう。研修は近畿の管区の中級職員の親睦の意味も含めて、今後の中級職採用者のコースや職員の心得、裁判所の組織など裁判所職員として必須の知識を学ぶものであった。2泊3日の研修だったが、奈良地裁の人と同室で寝泊まりした。朝8時のご飯とみそ汁の朝食から3食付きで午前午後と授業やリクリエーションが行われた。今後諸機関研修1部の試験を受けて書記官になるのが通常の道行きだと分かった。諸機関研修は1部、2部と別れていて大卒は1部の研修を受けるという話であった。大阪地裁には時折マル秘文書を届けに行ったりするので大阪地裁の女性職員の木下さんと話をした。小原さんという女性と卓球をしたり、清原君という神戸地裁の職員と将棋をした。研修施設の西側には稲田さんが就職すると言っていた中内功の「ダイエー」のグラウンドが広がっていて、休憩時間に2階の窓越しに見ると新入社員と思しき人達が白いトレパン・トレシャツ姿で馬跳びや組体操をやっていた。取れシャツ姿で楽しかったのは見たかった奈良公園のシカが見れたことである。奈良地裁の職員の熊田君と平田さん、深田さんという女性職員と一緒に見に行った。ディズニーのバンビを思い出しながら親しみを持ってシカに近づきパンをやろうとするとジョージ・オーウェルと同じように角でこうこうしてくるのだった。「嫌われたか!これは」と思いながら、後ずさりして女性に笑われていた。そんな職員研修だった。職員研修を回顧しながら今日も終業のチャイムが鳴る。通路に吸い込まれていくダックスの中野君を見送りながら帰り支度をして裁判所の中央から丸太町通りの歩道に出た。今日は7時から下宿の近所の福井さんの家で昇華学会の座談会に出なければならないが、河原町の駸々堂で本を探し、パンを買おうと思って寺町通から御池を通り、河原町3条にある駸々堂で本の立ち読みをしていた。帯の掛かったハードカバーで高野悦子著の「二十歳の原点序章」という本を買った。この本は養豚場の悲惨な実態を表しているように感じたので身に詰まされて読む気になった。本を買って空腹を覚え、パン屋で胡瓜のサンドウィッチと菓子パンを買って家路を急いだ。家に帰って7時から昇華学会の大B長の福井さんの家で座談会に出席した。僕はこの地区の青年部班長である土建屋の先野さんの下で組織活動をすることになっていた。組織活動と言っても僕は裁判所職員なので一往国家公務員である。思想的な偏向は許されない。宗教的な勧誘などは立場を危うくするのでできないのである。座談会は学会歌「それないの歌」で始まり、武田先生、武田先生で終わって行った。

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