モッツアレラチーズ2 捌拾弐

6回生になって夏休みも終わり、秋の文化祭に向けての準備をしている。同志社大学の昇華学会の大学内組織である大東洋哲学研究会では文化祭で仏法の生命哲学に関するいろいろなテーマについて展示をして人集めをし、昇華学会への入会に繋げようとしている。僕は今回生命の流転のテーマを図を利用して説明する役を担当することになっている。生命の流転については経文にあることは分かっているが、経文に当たっても理解できるはずもない。そこで、市販されている俗な本で分かりやすいものを読んで対応することにした。その本は一頃話題になった「ノストラダムスの大予言」の著者である五島勉の「カルマの法則」という本で、これを参考にすることにした。カルマというのは他の言葉では業という。法則というのは因果の法則である。生死を繰り返す中で業という因が生命に刻まれ、その因によって人が生きていく中に結果として様々な報いを受け、死してまた報いを受け、生まれ変わる様を説明している。経文としては主に俱舎宗の依経に拠っている。俗な本ではあるが分かりやすい。女子大生にどう説明しようかなどと恥ずかしそうに顔を赤らめながら考えていると、黄色いサマーセーターを着たプレッピーな前田君がホンダの「パッソル」に乗り、パイレーツのヘルメットを被って窓の外を走って来た。前田君は京都府立大に通っているが府立大は上賀茂にあるこの学翠荘からほど近い同じ北区の区域にある。前田君の足である「パッソル」はエンジン付きの自転車のような原付のバイクでせいぜい時速30㌔ぐらいしか出ない。とはいえ足として重宝しているようである。前田君はバイクから降りて2階に上がり、北河君に声をかけてから僕の部屋に2人で入ってきた。2人ともプレッピーな服装をしていた。プレッピーな服装というのはアメリカのプレップスクールの学生の間で流行っている服装のことである。アメリカントラディショナルと言っていい。前田君は「男子専科」や「ポパイ」などの雑誌で紹介されているコーディネーションを取り入れている。北河君や僕も影響を受けているが、服の値段が高くてとても手が出ない。北河君はUCバークレー大学のトレーナーを地元のトラッドショップ「加藤」で買ったと言って着ていた。テレビでもタレントのせんだみつおが噂のチャンネルで「ボートハウス」のトレーナーなどを着て流行っている。僕はいいなあとは思いながら金がないのでアラブの隊商を率いる男ようなカーキ色の半袖シャツとズボンを着ている。しかし、砂漠用のヘルメットは着けていない。2人に文化祭に向けての予行演習として「カルマの法則」から自論を導き出して説明したが反応は今一つ思わしくなかった。その後、前田君はトラディショナルな服装について雑誌を捲りながらの蘊蓄を傾けていた。前田君は大藪春彦の小説のファンでその著作である「蘇る金狼」の映画化での主演松田優作の服装に言及していた。話も終わり、夕べの勤行を済ましてから3人で近くの軽食レストラン「キッチンポット」に晩飯を食いに行った。僕はキッチンポットではオムライスばかり食べている。

 

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