モッツアレラチーズ2 捌拾壱

後期試験も終わって、春爛漫だが同志社大学6回生になる。5回生の1年は割合学校に通うことができた。外国語や体育などの出欠を取る教養科目も試験の出来から見て問題はなさそうである。兎に角1単位でも落とそうものなら7年で卒業できない状況にある。今、幸か不幸か周りが昇華学会員ばかりなので、その影響で授業に出席し単位が取れる状況にある。下宿では僕の勧めで昇華学会に入会した、後輩の立命館大学のたらこ唇である北河君と京都府立大学の松食い虫研究家である前田君とほとんどプライバシーのない付き合いだし、学校でも大東洋哲学研究会のメンバーの朝原君や石井君、赤間君、蓮川君と言った人たちと日頃の付き合いがある。時々一緒に飯を食ったり、サテンでだべったりするのである。昇華学会と関係のない知り合いと言えば京都中で東山にお住いの山口君唯一人である。下宿では僕の部屋にテレビがあるので前田君と北河君は時々僕の部屋で見ている。つい今しがた迄再放送の「西遊記」を見ていた。僕は仏教を志ているし、3度の飯以上に朝夕のお勤めを重要視している。それでこのテレビ番組にも特別の感慨を持ってみているのである。「大唐西域記」は法相宗の玄奘三蔵が17年に渡り経典を求めて旅をした時の記録でこのドラマの基礎になっている。ドラマの内容は三蔵法師がいろいろな妖怪変化に襲われるのを孫悟空や沙悟浄、猪八戒の弟子が助けながら経典を求めて旅を続けるというものである。ドラマの配役は三蔵法師をモデルでクッキーフェイスの夏目雅子、孫悟空を俳優の堺正章、沙悟浄をブレッドアンド・バターの岸部四郎、猪八戒を俳優の西田敏行が演じている。三蔵を女性に演じさせて、僧侶は弱弱しいが魔の誘惑は少ない。妖怪変化は全て魔の所為ということであろう。特撮が面白いが、17年の苦闘は描き出せてはいない。しかし、夏目雅子の三蔵は仏教の良さを少しは感じさせているか、いないか。昇華学会の息苦しさから逃れるために実家への帰省支度を始める。前田君と北河君も帰省すると言っていたが僕の方が一足先に二人に挨拶をしてから下宿を出た。上賀茂神社前からバスで京都駅に行き、京都駅で新幹線に乗った。午後2時半に京都駅を出発して11時前には高知駅に着いた。全て行き当たりばったりの自由席なので繫ぎがうまくいかないと高松で宵越しになりかねない。タクシーで永国寺の自宅にやれやれ到着。まだ家の電灯はついており駐車場には弟のホンダのクーペがあった。弟は徳島から帰省している。玄関で「ただいま―!」と声をかけると母が出て来て「京都ではいい子にしてた?」と言った。イギリス人のお母さんのようだなあと思いながら3階に上がった。3階で父の部屋のドアを開けると父が「学校はどうぜよ。」と言った。「今年からは全単位ば―取れそうな!」と答えた。日蓮法華宗道友会の父は僕が昇華学会でご本尊を受け、信心をしていることを非常に心配している。自室に戻ると部屋の灯りで間仕切りの向こうの弟がまだ起きているのがわかった。弟は来年から大阪大学基礎工学部の大学院の修士課程に進むことが決まっている。襖をあけて、「よー元気でやってるか?」と声をかけると、「お兄はいつまで大学におるが!」と逆に質問された。

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