モッツアレラチーズ2 漆拾捌

若葉の季節、5回生になって真面目に授業に通い始めている。教養課程の科目も外国語や体育など全然取れていないので朝からバスに乗って学校に出かける。1講時から授業を受けるのは無理なので2講時、3講時で教養科目を受けるように登録してある。洗顔を済ましてから朝のお勤めをする。お勤めとは日蓮法華宗の勤行・唱題のことである。現在日蓮法華宗のご本尊様を下付していただくには昇華学会に入会していないと非常に難しい手続きを要する。それで再三下宿を訪れていた昇華学会婦人部の高田さんの勧めに応じて、同じ下宿に住んで居る同志社の学生の石井君の紹介ということにして形だけ昇華学会に入会することとなった。入会によって僕は日蓮法華宗の京都平安寺でご本尊様を下付していただけたのである。平安寺でご本尊様を下付していただく際、担当していただいた御僧侶は非常に厳しい面持ちで「ご本尊様を大事に保ちなさい」と言った。事によると御僧侶は昇華学会に良い印象を持っていないのではないかと内心思った。こうして僕は下宿に昇華学会の人にいただいた非常に小さい仏壇に御本尊様をご安置して信心を始めることができたのである。朝洗顔が済んでから、箪笥の上の御厨子にましますご本尊様に向かって30分程度のお勤めをしてから食事をする。お勤めは朝夕2回するから朝方の生活をするのに役立っていた。昇華学会にはご本尊様を下付していただくため背負うことなし入会したので会合などに参加する気はなかった。ともあれ、生活は幾分整って受講するようになっている。イチゴジャムとマーガリンを塗った食パンをグリコのカフェオレで胃の腑に流し込んでから、英語とドイツ語の教科書とノートを持って上賀茂神社前からバスに乗って学校に向かった。下賀茂で降りて弘小路ののキャンパスに着いた。チャペル前の掲示板を見て英語の授業の確認をし、新町校舎に行った。ジョージ・オーウェルの「アニマルファーム」という本がテキストである。この本の内容はまるで昇華学会の実態を描いたようなものに思えた。先生が音読しながら順番に生徒に訳を付けさせていく授業である。単語もそう難解なものはなく、英文もオーウェル独特の読みやすいものである。出席日数が足りれば取れるだろうと思っていた。英語の授業は1階のB教室で、3講目のドイツ語は2階のC教室であった。ドイツ語はまだ「バスイストダス?」などの簡単なフレーズしかできない。担当の植松先生は全くドイツ語を教えるのにふさわしいヒトラータイプの顔立ちをしていた。3講目が終わって地下の同志社生協の食堂でBランチを食べていると同じ下宿に住んで居る石井君に声をかけられた。石井君には連れがいた。連れは朝原という昇華学会の同志社大学学内組織である「大東洋哲学研究会」の組織部長だった。研究会では仏法哲理を学んでいるので参加しないかという話である。昇華学会の組織活動を担う人間に仕立てようとしているのは明らかで、抜き差しならない状況に圧迫感を感じながら流れの中で思考が抗えず、押し流されていくのだった。研究会の勉強会に参加するのを約束させられて話を終わり食堂から出た。元文堂でオーウェルのテキストの手書き印刷の訳本の続きを買って、同志社前から上賀茂行きのバスに乗った。

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