モッツアレラチーズ2 漆拾伍

4回生になって後期試験も近づきもうすぐ冬休みに入る。冬休みは高知に帰省する予定だが今年は来年から留年になることを両親に告げなければならないので帰省が1日延ばしになっている。下宿では相変わらず麻雀三昧の生活だが春に卒業したメンバーがいるので麻雀仲間も変わっている。昨日も2階の植松君の部屋で夜中までプレイした。植松君は僕と同じ四国の香川県の進学校として有名な高松高校出身の同志社の生徒である。昼過ぎに起きて駅前にできている「珈琲亭」で朝食兼昼食を取った。この頃も学校の授業にはほとんど出席していない。今日は珍しく登校する気になったので「基本六法」と親族相続法の教科書を下げて出かけた。岩倉駅から出町柳駅まで30分ぐらいかかるので周りを見回したりするのだが目に留まるような女性などは一人もいない。仕方なく見たこともない親族相続法の教科書をぱらぱらと眺めて、担当の宮井教授の顔を思い出そうとしたが年配の男性と言う他のイメージは想起されなかった。2時半からの授業まで大分時間があったので出町柳から同志社までの道すがらで寺町通の東側にある電気店によって歌謡曲のの音楽カセットテープを見ていると、シモンズの「恋人もいないのに」のアルバムがあったので購入した。大学のキャンパスに着いて、掲示板で教室を確認してから致遠館に向かった。教室の一番後ろの席に腰を掛けた。宮井教授が登壇して授業が始まった。今日は親族法の戸籍の所らしい。婚姻届けでのトラブルの事例を判例を通して教えていた。占い師のおばさんが東大の医学部の学生との婚姻届けを無断で出して受理された事例だった。実際におばさんが戸籍から抜かれるのを「嫌ですう!嫌ですう!」と言うと東大生の戸籍からおばさんの名前を消すのが大変だという話だった。これは週刊誌ネタらしかった。興味深い話だと思いながら基本六法を捲った。教授の話を聞きながら戸籍の所の条文を確認し、六法を閉じ箱カバーに収めようとした。「それ私のです」と隣に座っている女子学生が箱カバーを引っ張った。「えっ」と思いながら女子学生の顔を凝視した。同志社には珍しいかなりの美人が眉間に皺を寄せて僕を見ていた。その美しさに気持が和らいで、「いいですよ。僕は」というと、女子学生は「私のです」と更に強く言った。僕は全く白けた気分になりカバーのない「基本六法」と教科書を持ってその場を立ち去った。次の労働法の授業をを受ける意欲が損なわれたので学校を後にして、寺町通を通って御池、河原町三条から京極通のアーケードの中にある「平野屋」という喫茶店に入った。コーヒーとジャムトーストを頼んで座っていると山口君がすぐ近くに座っていた。コップの水とレシートを持って「イヨー」と声をかけて席を移った。山口君は平野屋のすぐ近くの四条通り沿いにあるレコード店「十字屋」にレコードを買いに来た帰りだという。山口君は相変わらず状態が不安定だがもう病院通いはしていない、京都駿台予備校に通っていると言っていた。山口君はアシュケナージのリストのピアノ曲のレコードを見せてくれた。平野屋の入り口で山口君と別れてから河原町通り沿いにある「駸々堂」でサンドウィッチと菓子パンを買って下宿へと急いだ。

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