モッツアレラチーズ2 漆拾弐

6月、梅雨に入ってしとしとと雨が降っている。京都の雨は何となく風情がある。先月に母屋から別棟に引っ越した。1階の一番北の部屋である。隣の部屋は川北君という京都コンピュータ学院の1回生だ。川北君とはすでに顔見知りになり、伊藤君が中心のマージャン仲間になっている。マージャンは最初打ち方を知らなかったが、2,3回後ろで見させてもらっている内に平和(ピンフ)、七対子(チートイツ)などの比較的簡単な役を覚えて参加できるようになっている。マージャンは夜遅くプレイすることが多く、徹夜マージャンになることもしばしばである。現在3回生であるが、取得単位は20単位以下なので今年から休みなく学校に通わなければ必然的に留年の憂き目を見る。ところが悪いことに別棟に越して来て、マージャン地獄にはまってしまっていて、2回生の時以上に学校に通わなくなっている。朝起きて洗顔をしてから川北君の部屋を訪ねるとラジカセで山口百恵の「パールカラーに揺れて」を聞きながら薄い布団を被って寝ていた。下宿の門のところにある自動販売機でオレンジジュースを買ってくるように頼まれて買ってくる。コップに入れて僕にも少し分けてくれた。昨日も夜中まで川北君の部屋でマージャン卓を囲んでいたので今はもう昼近い。川北君も麻雀地獄のお陰であまり授業に出席できていないようである。川北君と一緒に朝食兼昼食を取りに出かけた。川北君も僕も食事は基本外食である。どこへ行こうかと言って近くの辰巳食堂に行くことにした。辰巳食堂で2人若鶏定食を食べて下宿に帰った。下宿の部屋で最近買ったテレビを見ていると、伊藤君が学校から帰ってきて声を掛けられた。他に川北君と林君を呼んでくるのでマージャンの卓を囲もうという話だった。学校に出かけようと思っていたが腰を折られ、承諾した。僕の部屋でマージャンが始まった。伊藤君と林君は打ち慣れているが、僕と川北君はまだ打ち慣れていない.僕は伊藤君からマージャンの本を借りて役などは大体頭に入っている程度だ。い点棒を「いちにいごっと」で配った。「いちにいごっと」というのは万点棒を1本、5千点を2本、千点棒を5本、百点を10本づつ持ち点として配るのである。ゲームが終わった時3万点あればプラスマイナスゼロである。下宿でのマージャンは緊迫感を持たせるためにお金を掛けたマージャンになっている。点2というレートで1000点200円の計算である。勝ち負けはトップで+30とか40位になるのですねかじりの大学生としては結構高いレートである。麻雀牌をかき混ぜてゲームが始まった。部屋にあるビクターのスピーカーから桜田順子の「夏にご用心」が流れている。ゲームは進み、伊藤君がサイコロを転がして親で牌を取り、牌を川に切った。僕は14枚取った牌の中から1筒(イーピン)を切った。手の内の13枚は早くもイーシャンテンだった。中が暗刻(アンコウ)で西、北が対子(トイツ)である。こういう時初心者は字牌を鳴いて混一色(ホンイツ)を狙うが僕はまさにその初心者だった。調子よく西と北を鳴いて、辺七索(ペンチャッソ)待ちになって聴牌(テンパイ)だ。1索(イソコ)を川に切った。「ロキシューン」と川北君が満面の笑みを湛えながら当たりを宣言して、牌を倒した。純チャン3色イーペイコウ、きれいは跳ね満貫の手が作られていた。僕が12000点を川北君に渡したところで部屋がノックされ山口君の顔が見えた。僕は左程沈んでいなかったので観戦中の安井君と交代してもらった。部屋の外へ出て山口君と話をした。山口君は心なしか青ざめた顔をしていた。山口君に話を聞くとパニック状態で体調が悪く、催眠術掛けられているような気がすると言った。肩を叩けば正気に戻るかもしれないと僕に叩くように求めた。僕はバシバシと肩を叩いたが按配は良くならず、山口君に付き添って一乗寺まで行った。山口君は「喫茶店でスモール一杯だめですか?」というので一乗寺の駅のそばで市会議員の青木がやっている「ライオン」という喫茶店で話をした。山口君はホットコーヒーの「スモール」を注文し、僕はミックスジュースを注文した。山口君は医学書を紐解きながら学生の「アパシー」かもしれんなあと首を捻っていた。

お知らせ

遅いパソコンのスピードアップ!!

性能が低いHDDからSSHDやSSDに

ディスクのクローンで丸ごと引っ越し

OSの起動スピードが速くなる