モッツアレラチーズ2 陸拾漆

梅は咲いたか桜はまだかいな。栗の木にはホーホケキョとるりかけす。後期試験も終わって高知の実家にいる。後期試験も4科目しか受験しなかった。1年時で取れる単位は間違いなく20単位以下だ。今後よほど頑張らないと留年は必至だろう。今の状態は在学浪人だ。3月5日からの国立1期校の受験で岡崎君と一緒に東京の国立市にある一橋大学を受験することになっている。もちろんこの1年間数学をちょこちょことやるぐらいで受験勉強はまともにできていないので合格できるわけもない。岡崎君や山口君との付き合いで受験するようなものである。弟も5日からの1期校の試験で徳島大学を受験することになっているが、こちらは合格間違いなしである。これから弟と一緒に高知駅に向かう。弟は山﨑先生が紹介してくれた徳島の警察共済の旅館で1泊して、僕は東京の高円寺にある弁護士の窪田さんのマンションで1泊させてもらってそれぞれ徳島大学と一橋大学を受験する。両親は僕の再受験にもちろんあきれ顔である。高知駅で弟が先に午前9時発の徳島行きの急行で旅立った。「合格確実やけんど、気を付けて受験してきや。」「お兄ちゃんも頑張りよ。」岡山行きの南風2号が来て乗り込んだ。高松から連絡船に乗って宇野へ、宇野から普通列車で岡山に、岡山から東京行きのひかり15号に乗って東京駅に着いた。東京駅で山手線に乗り換えて高円寺駅で降りた。高円寺の駅からマンションまでの地図を頼りにマンションを探した。駅からほんの5分程でマンションは見つかった。11階建てのマンションの5階にエレベーターでに上がり部屋の前でピンポンを鳴らすとドアが開いて奥さんと小学生らしい子供が出てきた。玄関口で挨拶を済ませ和室に通されお茶をいただいた。1時間ほどつけてもらったテレビを見ていたが窪田弁護士が部屋の襖を開けて小学生と一緒に入ってきた。窪田弁護士は息子に「このお兄ちゃんはこっちで言うと慶応みたいな京都の大学に行っているんだよ」と僕を紹介した。もう夜の7時近かったので窪田弁護士は僕を料理屋へと食事に連れて行ってくれた。明日大学を受験するのに前の夜すき焼きかと思いながら窪田弁護士と話をしながら鍋をつついた。窪田弁護士は山﨑先生のいとこで香川県の高松市の出身であった。翌日高円寺のマンションを出て渋谷に行った。渋谷で岡崎君との待ち合わせである。岡崎君と一緒に渋谷から電車を乗り継いて国立に行った。国立の駅で降り岡崎君と二人で一橋大学を目指した。国立は緑の木立の多いところで殊に一橋大学は木立に覆われていた。木立に添って大学の正門へ向かう途中は受験生が列をなしていた。岡崎君は恥ずかしそうににステンカラーコートの襟を立てて、「こんなに人がおって通るがあ80人」とあきれ顔で僕を見た。2日間の試験は散々だった。答案用紙の紙面を出たら目に埋めるのが精一杯だった。運が良ければのレベルでもない。空想の中を浮遊しているような受験は終わった。受験が終わって、窪田弁護士に礼を言って東京を発ち、高知には帰らず京都に向かった。9時に東京を出てから午後1時にはもう兵庫荘の下宿に戻っていた。下宿で旅行かばんを部屋の傍らに置いた時には放心状態であった。カナダドライオレンジを飲みながら、単位が取れてないことの親への言い訳とか、大学2年目もまた在学浪人になりそうな気配で気が遠のいていった。

 

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