モッツアレラチーズ2 陸拾陸

秋も深まって嵐山では紅葉がきれいだろう。京都は街中でも並木が多く自然は十分に残されている。ただ、盆地なので夏は暑く、冬は底冷えがするらしい。実際夏の暑さは相当だ。南の高知は夏は暑いが京都の夏はもっと熱くと感じる。11月の今も朝晩はかなり温度が下がるが、12月、1月となるとどうなるのだろう。部屋に暖房器具は何もない。炬燵を用意しないとこれから先厳しいかもしれない。それとここの下宿は風呂がを1週間に2回しか沸かさないので銭湯に行きたい時もあるが、銭湯は修学院とか上賀茂まで電車とかタクシーで行かないとないので冬は冷えてとても無理だ。最近でも朝かなり布団から離れるのに時間がかかるが冬に入るとさらに起床時間が遅くなるだろう。大学での勉強はあまり順調にいっていないが、それはこういった環境や身体の条件が悪いことも原因となっている。かといって在学浪人をして東京の大学に逃げたとしてもあまり条件がよくなるとは思えない。ベッドから起きて洗面所で洗顔を済まし、岩倉スーパーに行った。岩倉スーパーでインスタントラーメンや食パン、ポテトサラダなどを買い込んで下宿に帰った。下宿に帰って昼近くバタつきパンにココアの朝食を済ました。最近在学浪人モードで数学の雑誌や問題集を眺めることもあるが、勢い小説や新書を読んでしまう。イギリスの19世紀末から20世紀中葉にかけてのサマーセット・モームという作家の作品をこのところ読んでいる。「人間の絆」という長編小説は著者の自伝的小説である。いい時代のイギリスの風物が楽しめる小説である。後著者の人間を見る目の地に着いた思考力に動かされるものがある。学校にめったに行かず、家で本を読み暮らし、週に2回食堂でパイㇳをする毎日になっている。2時過ぎに腹が減ったので駅へ行く道すがらにあるお好み焼き屋でささみ定食を食べた。ここのお好み焼き屋は若夫婦がやっている。昼飯を済ませて下宿に戻った。廊下で南隣の住居人の宮本君に声を掛けられ宮本君の部屋で話をすることになった。宮本君は京都産業大学の法学部の2回生で小太り赤ら顔で体格のよい黒縁眼鏡の青年である。僕は哲学の新書、例えば岩波新書の「実存主義」などを読んでおり話は理屈っぽい話に終始した。宮本君は総復習と称して小学校の五科目の参考書などを読んでいた。宮本君の部屋には御厨子があるのに気付いた。宮本君に尋ねると御厨子には日蓮法華宗の御本尊様が安置されているとのことだった。宮本君は信仰について多くは語らなかったが「集中力が付くわ!」という言葉を聞いたのであまり信心はなさそうだと思った。宮本君と話をしているところに西隣に居住している宮地さんが来て、一緒に話をし出した。途中、宮本君が「サントリーレッド」を出してきて酒が入った。世間的な話題を弄んでいたが、僕は京大生の宮地さんに哲学的な話を持ち掛けた。宮地さんは小難しい話が嫌いらしく、「僕なあ、プラグマティスとなんや!」と言って哲学的な話を打ち切った。僕はこの話でアメリカのプラグマティズムという哲学が印象に残った。午後6時近くまで話して宮本君の部屋を出て自室に戻った。財布と机の引き出しにある手持ちの金を勘定したがもう千円札が数枚しか残っておらず仕送りがあるまで倹約モードを余儀なくされる。7時過ぎに残金を気にしながら駅前の「大扇」でポテトサラダ定食を食べた。京都の秋の夜長はラジオを聴きながら更けていく。

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