モッツアレラチーズ2 陸拾弐

6月も中旬を過ぎると高知に居る時にはもう梅雨時だったが、京都ではどうだろう。朝起きて、母屋から出て洗面所に行くと母屋に下宿している4人の内の一人川村君と一緒になった。川村君から気さくに話しかけてきたので、歯を磨きながら少し話をした。川村君は長崎県出身で立命館大学法学部の1回生とのことだった。痩せ型中背で頭はアフロヘアのようにチリチリだが評論家の加藤諦三に似た男である。洗顔を済まして部屋に帰り簡単な朝食を取った。カナダドライを飲みながらソニー製のカセットラジオで太田裕美の「木綿のハンカチーフ」を聞いて故郷の女を思い出そうと思いを巡らした。そしてそこには誰もいなくなった。寝巻からジーンズとTシャツに着替えた。最近はほとんど学校で講義を受けていない。殊に体育は1回も出たことがないのでそろそろ単位修得が不可能になるだろう。これというのも生活が夜型のせいである。1,2回生の教養科目は午前中の授業が多いので昼過ぎに起きたりしていると学校へ行っても飯を食うだけに終わることも多いのである。取り合えずビニールの手提げ袋に 本と筆記用具を入れて出掛けることにした。岩倉駅から出町柳で電車を降りて鴨川大橋を渡ってちょっと西に歩いたところにあるこじんまりしたうどん屋に入った。暖簾をくぐると店の中は京都のうどんやらしい佇まいであった。お品書きを見てけつねと稲荷寿司をを注文した。けつねは京風の薄味で麺は細めだった。飯ばかり食って何もしない今日この頃と思いながら今出川の通りをとぼとぼと学校に向かった。通り道きれいな女子学生は歩いていないかと目を皿のようにしていたがすれ違うのは男子学生か身体的にどこか欠点が目に付く女子学生であった。同志社大学はきれいな女子大生が多いイメージが世間的にはあるかもしれないが実際はそうでもなかった。キャンパス内を抜けて学生会館へと向かった。2階の書籍部でハイデッガーの「存在と時間」を読んでいたがちんぷんかんぷんなので嫌気がさして前の窓際に設置してある長椅子に腰を掛けて休んでいた。そうしていると現代法学研究会の大西さんが「これから3階の部屋で勉強会やるんやけど一緒にけーへん!」と僕に声を掛けた。3階の部屋に入ると男性5人女性が4人いた。岩波新書版の渡辺洋三著「法というものの考え方」の読み合わせをした。長身痩躯京風美人のOGがリーダーシップを取り4回生の大西さんが補佐をするという形で読み合わせは進められた。渡辺洋三の本は法の概念を説明しようとしているように思われた。同志社大学には法律に関係のある部会活動は他にもある。「同志社大学法学研究会」は毎年コンスタントに司法試験に合格者を出している、6法の勉強を主とする実体法の研究会である。

僕の今の生活実体からするとどちらがより相応しいか?夜型の生活に相応しいのは現代法学研究会の方に違いないと思った。読み合わせが終わって皆で新町校舎までの路地の一角にある「東天紅」という中華風のレストランに入った。僕はよくこの店で飯を食う。僕は天津飯を注文した。ここの天津飯はかなりたっぷりした飯の上に卵を3個は使っていよう分厚いかに玉を乗せて濃厚なたれがあんかけとしてかかっているそんな天津飯である。蓮華にたれの掛かったかに玉の乗った飯を上手くすくい口に運ぶ。部員の話は単位の取得などの話が多かった。もうすぐ前期の試験があるが英語などは元文堂でアルバイトの学生が作ったテキストの訳を買えば比較的楽に単位が取れるなどの話である。「東天紅」を出るともうとっぷり日が暮れていた。今日も結局1講も受講することなく学校を去って行く。電車代を払って学校に行き、飯を食い無駄話をして帰る。「これではねえ!」。でも今日は法の概念について部会で少し学ぶことができた。最近雑誌では大学がレジャーランド化しているという記事が目に付く。僕の大学生活は飯を食っている。

 

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