モッツアレラチーズ2 陸拾壱

ここ岩倉の地は山並みが迫っていて緑が多い環境である。深緑の季節、さわやかに目覚めたいところだが浪人生活から夜型の生活が普通になっている。朝起きて洗面所に行くが下宿の他の住人は学校に出かけていてもういない。洗顔を済まして、遅い朝食はインスタントラーメン。電気コンロに鍋を掛水を入れ沸騰したら「札幌1番塩ラーメン」の袋を開けて麺と薬味を入れ麺がほぐれてきたら卵を1個落とす。廊下に共同の冷蔵庫があって、卵はそこに保存してある。出来上がったラーメンを中華のマークの付いたどんぶりに入れて食べる。なぜ朝からインスタントラーメンかというと資金が底をついているからである。現金書留で送られてくる仕送りが4万円也。下宿代6千円を引くと残り3万4千円が生活費になる。食事は基本的に学食などを利用しているが外食なので高くつく。今のところ金がなくなってくると卵入りインスタントラーメンかバタつきパンとココアの食事になっている。ジャージー姿から登校用のスラックスとシャツに着替えた。京福電鉄で出町柳まで行き徒歩で同志社に着く。学校では登録していながらまだ1度も受講していない科目もある。更に、英語と第2外国語のドイツ語もすでに欠席したことがある。1,2年の教養科目では出席日数が足らないと単位を修得できないが、すでにその心配がそこまで来ている。もう午後の部の授業だが僕の受講科目は英語で新町校舎で受ける。新町校舎は京都御所の北にある今出川校舎から西に路地を経て繋がっている。新町校舎1階のAの教室に入った。テキストはエーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」で読んで訳していく形式で行われていた。英語の授業を終えて、今出川校舎に帰り、弘徳館で行われる山本浩三教授の憲法の講義を聞こうと歩いていると男に声を掛けられた。「ちょっとお茶でもせーへん」と長髪でひげを生やしたサングラスの男は言った。その男は現代法学研究会という同好会の入会の勧誘をしていた。地下の生協の食堂でコーヒーを飲むことになった。席に着くとその男の他に長身の女ともう1人男が席に着いた。荒木と名乗る男が現代の法律がいかに資本家優位の体制を堅持するために作られているか、どう変えていかなければならないかなどを語った。左翼系の同好会らしく聞こえた。同志社は中核派が学内闘争をしていて、赤いヘルメットを被ってプラカードを持ち「闘争勝利!」などと怒鳴りながらキャンパスを練り歩いていることがある。そこで学生運動との関りが頭を過ぎった。同好会では長谷川正安や渡辺洋三などの著作を読み合わせたり、議論をしたりするということだった。また後日入会するかしないか返事をするということで別れた。弘徳館での憲法の講義は結局30分ほどしか聞けなかった。講義が終わると空腹を覚えたので今出川校舎から烏丸通を隔てて北西側にある学生会館の1階食堂に行った。食堂でカレーライスときつねうどんの食券を買いセルフサービスで食べて食器を片づけた。同志社の食堂は生協がやっているので会員になって会員カードを持っていれば安く食べられる。食事を済ませてから2階の書籍部でサルトルの「存在と無」などの本を眺めたが、ちんぷんかんぷんだったので早々に家に帰ることにした。時計を見ると午後3時を回っている。4:00に高校の3年生の時の同級生である福島君と出町柳の駅で待ち合わせがあった。福島君は広島大学工学部の2回生だが1人小旅行で京都に遊びに来るということであった。出町柳の駅前で待っていると4:00ちょうどに福島君はバッグを肩に下げて現れた。一緒に岩倉の兵庫荘へと向かった。 下宿で一頻り話をし、福島君は僕の下宿に1泊することになった。福島君は広島大学のグリークラブで声を張り上げていると言っていた。非常に孤独な学生生活をしているので同級生が訪ねてきたりするといろいろと話過ぎてしまう。晩になって下宿の近くのお好み焼き屋で「ささ身定食」を2人食べた。明日、福島君に同志社大学や京都御所を案内することにした。

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