モッツアレラチーズ2 伍拾肆

梅雨も明け空は日本晴れ。朝起きるといつもカーテンを開けて栗の木を見る。この栗の木にはいろんな鳥がやってくる。今日はメジロらしき鳥が2羽、3羽と枝に止まっている。もう午前10時を過ぎて、家族は皆出かけている。いつものように遅い朝食を済ませ、外出の用意をする。昨日森崎さんに昇華学会の座談会に誘われて出た。座談会で昇華学会のプロモーションで製作した映画の券を2枚購入した。この映画は昇華学会の現会長武田倍尺著の「小説 人格革命」の実写版である。2枚買ったので橋本君を誘った。土佐塾予備校に着いて、2階の事務室の前を通る時受付の事務員さんに声を掛けられた。志望校を決める相談を受験指導の山﨑先生とすることになった。事務室の中に入ると山﨑先生は灰皿に煙草を揉み消した。僕が挨拶をすると、山﨑先生は「まあ!そこへ座りや!」と言ったので机を挟んで先生の向かい側に座った。先生は予備校での各種模擬テストの成績表をぱらぱらとめくった。「第1志望は早稲田の法学部かえ!英語の成績が30点40点じゃぁ難しいぜ!日本獣畜大の動物園科はどうぜ!上野動物園の飼育係になれるぜ!」と言ってニヤリと笑った。「理科系の科目は勉強していません!」と僕は頭の中のイメージを養豚場から動物園に切り替えた。相談の結果、第1志望早稲田大学法学部、第2志望青山学院大学法学部、第3志望法政大学法学部とした。先生は法政大学は通るだろうと言っていた。事務室を出て教室に入ると3講目の現代国語が始まっていた。島村先生はまだ中年で長身痩躯の人だがスーツを翻しながら黒板に字を書いたり、生徒の方に向き直って教科書を片手に熱のある授業をしていた。授業が終わって橋本君に映画の前売り券を渡した。橋本君と一緒に歩いて帯屋町のアーケード内にある映画館「東宝」に行った。「東宝」は3階建てのビルの3階にあった。入場口で前売り券を渡して、館内に入り売店でホットドッグとサイダーを買って銀幕を潜った。席はあまり込み合ってはいなかった。橋本君と2人で段差の付いている席の3段目の中央付近の席に着いた。映画は太平洋戦争の時治安維持法違反で逮捕され巣鴨の獄中にあった昇華学会第2代会長の坂田城外の悟りの話とか戦後昇華学会に入会して会勢を浮揚した現会長の武田倍尺の活躍ぶりと坂田との師弟関係を描いていた。坂田城外を「キーハンター」の丹波哲郎、武田倍尺を俳優で歌手のあおい輝彦が演じていた。映画では坂田城外の獄中での悟り「仏とは命のことだ!」というセリフが印象に残った。映画を見終わって橋本君と2人予備校に帰った。予備校に帰ると喫煙所で田内君がパイプをふかしていた。ロッキングチェアーという刻みタバコだという。田内君に昇華学会の映画の話をすると上機嫌で「どこがそんなにすごけりゃー!」と言っていた。4講目の授業の途中で抜け出して殿川君や広田君達と一緒に予備校に備え付けの野球道具を持って辷り山に行った。辷り山は高知城の北側にあるなだらかな坂とその上にある公園を言う。そのなだらかな坂一面がグラウンド代わりになるのである。所謂3角ベースの野球である。グラブは2.3個しかない。道端に植えられている桜の木が1塁である。軟球を投げ、バットで打つ。下手をすると坂の前の車道に球が転がる。非常に危険なスポーツであるが、構わずシャツを開け乍ら汗まみれになってプレーをする。浪人生は運動不足なのでこの様にして体を動かしている。野球を終えてすぐ近くの駄菓子屋でゴクリ、ゴクリと偽物のヨーグルト飲料を飲んだ。飲み物を勝ち負けで賭けていたので30円余分に支払った。野球道具を持って予備校に帰り、予備校から5:00に帰宅の途に就いた。

 

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