モッツアレラチーズ2 伍拾弐

桜もそろそろ終わりです。栗の木には陽気に誘われて遥々やってきたるりかけす。浪人生になって早1ヶ月近く経つ。最近は生活のパターンが家族と違ってきた。今日も朝遅く起きて家族が出かけてから、食卓に母が用意してくれた冷めた朝食を貪り食う。がつがつがつ、ごくごくごく、しーはーしーはー、げっぷ。食事を済ませ、3階に上がる。もう10時を回っている。予備校のテキストをナップサックに入れ、廿代橋の土佐塾予備校に向かう。追手筋を東に行って蓮池町の電停を左折する。廿代橋のすぐ東にある神社の隣が土佐塾予備校である。自転車置き場にドロップハンドルの愛車を駐輪して、予備校の階段を上がる。2階に上がって、教室に入る。2講目島村先生の現代国語が始まっていた。予備校に入ってもう1ヶ月近くたつ。国立文系選抜クラスに入っている。しかし、もうすでに国立の受験は諦めた。従って、受講するのは英・現代国語・日本史だけである。授業は六に受けていない。予備校でできた知り合いと喫茶店でだべったり、市民・県民図書館で本を読んだり、ある時はパチンコ屋に居たりする。こんな生活を続けていたら、1年後には現役の時よりさらに実力は低下するだろう。島村先生の現代国語が終わって、広田君のところに行った。広田君は窪川の人なのだが通学は無理なので寮に寄宿している。予備校の隣の棟にある寮の部屋に谷君と一緒に行った。3人で喫茶店の「クローバー」に入った。「クローバー」には顔見知りの予備校生が数人たむろしていた。谷君と広田君にその中の1人橋本君を紹介された。橋本君は予備校でも1,2を争う秀才だったが、京大の経済学部をを目指しているという。昼食にエビピラフを注文して食べた。バターで炒められてきらきら光っているご飯とエビ、ピーマン。喫茶店で一頻り話をしてから谷君たちと別れ、堀詰にあるパチンコ屋の「玉井会館」に行こうと広田君に誘われた。パチンコをするのはもちろん初めてである。「玉井会館」に入るとけたたましい出玉の音が聞こえ、店内はたばこの煙で薄っすらと靄がかかっているようだ。ある席で共産党の門田君が玉を弾いていた。箱に300円分の玉を買って、手動の台の席に着いた。台を見ると中央と左右に沢山チューリップのある台であった。天釘を狙って、中央の穴に球を入れればよいと何かで聞いたことがあったので、按配よく天釘に球を当てようとビヨーンと玉を弾いた。天釘に当たって左上の中リップに球が入り、左側の3つのチューリップが開いてジャラーンと球が出てきた。玉を入れて次々と弾くといくつものチューリップに玉が入って景気よくジャラーン、ジャラーンと玉が出てきた。途中で広田君と門田君のところに出玉を見に行った。広田君は横ぐわえにした煙草を燻らせながら足元に球が一杯入った箱を積み上げていた。「パチンコのプロか!広田は」と心の中で思った。なおも広田君は玉を出して受け皿を詰まらせていた。門田君はと見ると台には数発の球しか残ってなかった。びよーん、びよーん、ころ、ころ、ころ、ころ、はいおしまい。門田君は熱くなっているようであった。門田君は決然とした表情で僕を見て、席を発ち、玉を買いに走った。僕は席に戻って、打ち続け、結局1箱出した。計量器で玉を数え、何束かの歯ブラシを受けった。歯ブラシは交換所で現金に交換してもらった。結局、1500円の儲けとなった。勝ったからまたやろうと思った。予備校に戻って、自転車で家に帰る時にはもう5:00近くになっていた。家に帰って、3階に上がると弟が尺八を吹いていた。弟は高2で受験まであと2年あるが学力は既に僕よりもあるかもしれない。弟は教科書中心主義者で教科書以外は数冊の参考書しか使っていない。父は部屋に籠って絵を描いるが6:00になるとお勤めを始める。父は僕の荒れた生活を知ってはいても、「今度は入れるところに入りよ!」と強くは諭さない。荒れた生活に流されて、危機的な状況にいる自分を自ら教育することはできないでいる。

 

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