モッツアレラチーズ2 肆拾肆

梅は咲いたかホーホケキョとるりかけす。「全国的にアーサー!」。弟が食事を取りに階下に降りてゆく音がして、蛍光灯つけっぱなしで机の前によだれを垂らしながら蹲っているのに気が付いた。徹夜で解答していた添削問題の用紙が鼻水とよだれでぐしょぐしょになっている。「これは学校に行けんな!」と強く心に思いながら汚くなった添削問題を脇に置いて再び眠りについた。目が覚めたのは昼前だった。母が1度起こしに来たが「風邪気味やき!」と噓をついて学校をさぼることになった。難しすぎる添削問題だった。志望校の早稲田大学の法学部は受験科目の英語と国語に関しては国立の難関校並みだと言うことを受験の情報誌で見た。それで多数東大合格者が利用しているという「増進会」通称Z会という会社の通信添削の資料を送ってもらった。資料を見たところでは「難しすぎる!これは!」と思ったが、やっているうちに力がついてできるようになるだろうと始めることにした。昨晩9:00過ぎから英語の添削問題を解答し始めたが、A4の用紙を埋め尽くす英文の中に意味の分からない単語が30語以上もあった。三省堂のCollege Crownという見出し語が10万語ほどの辞書で調べた。全て調べ終わった時にはもう夜中の零時近くになっていた。結局辞書に載っていない単語が3語ほどあった。ノートに英単語のいくつもある語義のうち2,3書き写して和訳を取ろうとしたが、難解なパズルとを当てはめていくような作業は次第に睡魔との戦いによって難易度を増し、まさにzzzzzzzzzzzzz会。起きて鼻水とよだれで汚くなった添削問題の解答用紙を見ると「ほぼ全部できてるやいか!」。解答用紙を封筒の中に入れて、魚の名前がたくさん書いてある寿司屋の湯飲みで渋茶をゆっくりと飲み干した。階下に降りて食堂に用意してあった食事をテレビを見ながら食べた。テレビでは「お昼のワイドショー」をやっていた。「あおしまだー!もんくあっかー!」の青島幸男が司会で「天才子役と言われた」中山千夏と「へっころ谷出身の」八代英太が進行役を務めていた。この頃のお昼のテレビ番組はワイドショー番組の後、三食昼寝付き主婦向けのよろめきドラマと相場が決まっているようだ。食事を済ませて、3階に上がり封筒に切手を貼ったりして添削問題の解答を投函する準備をした。それから自転車で大橋通のアーケードの西にある郵便局まで投函しに行った。家に帰ると駐車場に父の車と日蓮法華宗の三谷さんのセドリックがあった。自分の部屋に静かに入った。父は僕が今日学校をさぼったことを知らない。気付かれないようにしたいと思う間もなく、父が部屋のドアを開けた。「学校はどうしたが?」「朝、風邪気味やと思うて休んだけんど、気分がようなったき!」「そうかえ!こっちへきて話を聞きや!」父の部屋に入って、三谷さんに挨拶をした。三谷さんは父との話の続きを始めた。「大聖人の法門について四依(しえ)の中でも「慧によって識によらざれ」ということはとても大事なことだと思います。」「知識ではなく智慧によって法門について書いたり、話したりしなければならないということですか?」「そうです。法門は全て信心のあるところで書いたり、話したりしなければならないということです。信心のない知識だけの書物や話はだめだということですね」。「信心のないところに智慧はないということですか?」「そうです。ご本尊様を信じてお題目を唱えるこ所に御仏智が湧くんですね!」。父はこのところ信心一筋でほとんど仕事をしていないが、部屋の片隅にある台の上に「森の中をとぼとぼ歩くロバ」の油絵が置いてあった。

 

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