モッツアレラチーズ2 参拾肆

霜が降りる季節となった。暖かくなったらまた来いよ、るりかけす。朝から父に頼まれて、風呂の炉にくべる薪を1回分用意した。家の風呂は五右衛門風呂である。五右衛門風呂は大きな釜のような浴槽に水を張り、下から釜を火で炙って湯を沸かすいたって原始的な方式の風呂である。炉の下におが屑を敷き、その上に薪を置いておが屑に火をつけ、火吹き竹でふーふーと吹くと釜の水が湯となってぐらぐら沸くのである。風呂は母を除いた3人が当番制で沸かしている。薪の用意をしてから他の3人とは別に朝食を取り学校に出かけた。朝食は急いでいたのでご飯に茄子の味噌汁をぶっかけ胃の腑に収めた。追手前高校でも冬場教室に火の気は一切ない。自然暖房のみである。教室で手を吐く息で温めながら鉛筆を削る。1時限目の有岡先生の数学は三角比のところをやっている。有岡先生は時々参考書として使っている本部均の「数学Ⅰの研究」の大学入試の問題を黒板に書いて生徒に解いてミイ!というが、そろそろ大学受験勉強の前兆であろう。2時限目下元先生の地理は先生が所要のため自習となった。高野君が僕を含め数人に「学校さぼって喫茶店で食事しょうか!」と声をかけ、学校を抜け出して帯屋町にある中華風の食堂で堅いヤキソバを食べた。詰襟の制服で行ったが、幸い警察に補導されることもなく教室に戻った。3時限目が終わって昼食の時、堅いヤキソバで腹が張っていたのでゲップと弁当を開いた。若いもので弁当を平らげ午後の授業に備えた。家に帰ったらパンシロンを飲もう!。高校の授業では中学生の時より身が入らなくなっている。途切れ途切れにどこか上の空である。原因は何だろう?思春期か?好きな女もいないのに!他人のもののようないやらしい妄想が怒涛のように襲ってくるのか!剣道で培っている平常心では耐えきれまいて!明らかに成績は下がる一方である。最近あった第2回の実力テストでも450人中すでに100番を下回っている。このままでは!と思いながら5時限目の授業は終わり、終業の時刻となった。部活のために部室に向かった。部室では数人が稽古着に着替えていたが数人が数人ともそのぶよぶよの体は薄明りに照らされて白かった。稽古着に着替えて今日は食堂が併設されている南側の体育館で稽古をすることになっていた。体育館に入って、軽い準備運動の後、2人1組になって基本技能の所作の稽古をしてからそれぞれ立ち合いに入った。今日は2年生の樋口さんが相手だ。樋口さんは中学時代の野間とは違うが足さばきが巧みでいつの間にかいい間合いを取られ打ち込まれる。全くオーソドックスな中段での攻め、守りなので威圧感は少ないが、隙も無い。この日も集中力を欠いたところを何本もきれいに面や小手を取られた。最近自分の得意の型というのがよくわからなくなっている。稽古が終わって、部室でお茶を飲んでから学校を後にした。家に帰って鞄を部屋に置いてから、風呂の浴槽に水を張り、炉の用意をし火をつけて火吹き竹でふーふーした。勢い良く火が燃え上がってから3階に上がった。父の部屋はまだ電気がついておらず帰宅していなかった。父の部屋を覗くと座り机などがかたずけられ、また部屋の中央にイーゼルやキャンバスが置かれている。父は水墨画などを断念したらしい。というのは日本の絵画は宗教と関連があり、殊に水墨画は禅宗との関連があるので日蓮法華宗の宗旨に馴染まないのである。父はまた抽象画やデザイン画に回帰するものと思われた。

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