モッツアレラチーズ2 参拾弐

もうすぐ9月、栗の木にはどこらら飛んできたか?るりかけす。夏休み中、剣道部は室戸大会に出場し3位入賞の栄誉を得た。僕は個人戦に出場し、2回戦まで進んだ。室戸大会は割合マイナーな大会で出場校も少ないが3位に入ると表彰状がもらえるので剣道部の実績には繋がる。兎に角、夏場剣道は稽古や試合をすると袴などの道着が汗や垢で汚れすぐ洗濯を母に頼まなければならないので気が細る。もう数日しかない夏休みの課題は全然進んでいない。机に座って鉛筆を鼻の下に挟みながら弟の机の本立てを見ると「チャート式 基礎からの数学Ⅰ」という高校生が使う参考書があった。部活の邦楽部で使っている尺八を布で磨いていた弟に「まだ中2やになんでこんな本を買うたが!これ青チャートやか!」と尋ねた。弟の話では進学校の土佐中では大学受験前の高3の時期は特別な受験勉強がいるので中学の時から数学などは1~2年先に進めていると言った。僕は夏休みの課題としてやっている数研出版の問題集「数Ⅰメジアン」の高次方程式などの問題を解き倦んでいたので、「これは!」と思った。弟の尺八のかすれた音を聞きながら大学受験に思いを巡らした。僕は追手前高校の普通科に通っているので高校では職業訓練は受けれない。そこで高校を卒業したら、市役所などの公務員試験を受けて公務員になるか、銀行などに入って企業で職業訓練を受けて仕事をするか、大学に行くかである。大学受験の志望校などはまだ全く考えていないが、高知高専を受けたので単純に理工系で有名な東京工大に行こうかと思っていた。目の前の数学用の帳面はすごく汚い字で数式や計算が書き込まれている。高次方程式の問題は因数分解がうまくいかず、ものすごくややこしい計算の中に迷い込んでいた。静かに問題集と帳面を閉じて机の引き出しに仕舞込んだ。机の中にあった英語教育協会の通信添削の案内と添削の解答や成績優秀者の発表のある雑誌が目に入った。これは「高1時代」という旺文社の受験雑誌に紹介されていたものをこちらから送ってもらったものである。添削の問題は高校1年向けとは言っても大学の入試問題などで高校の授業でやっている内容と比べると程度は高い。雑誌の後ろの方には前回の添削での成績優秀者の名前が掲載されていた。また、一等,二等、三等とそれぞれ賞品が贈呈されることになっている。1等はパイロットの万年筆である。数学、英語、国語と名前と高校名、志望校が印刷されていた。高知の知った名前の奴がいるだろうかと見ていると、どこかで聞いたことのある福崎の名前が2等98点布団の西川の安眠枕のところに出ていた。福崎は土佐高の女生徒で志望校は東大文Ⅲとなっていた。小学校の時この女は同学年では並ぶもののない切れ者の女というふれ込みであったが。あと数名成績優秀者の中に知っている名前を見つけたが、いずれも土佐高の生徒であった。私立の進学校である土佐高と公立の進学校である追手前高ではこんなにも学力の差があるのか。僕が今この添削の英語の問題をやってみてもせいぜい38点ぐらいしか取れないだろうと思った。雑誌の裏に写真入りで岡山商科大学という大学の紹介が出ていた。岡山商科大にするか!と心なしか思った。もうそろそろ父の夕のお勤めの始まる時間だ。弟に借りている三橋美智也の「哀愁列車」のレコードを潮江の城南三洋で買ったセパレーツのステレオで聞こうと思ったが思い止まった。

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