モッツアレラチーズ2 弐拾弐

みーん、みーんと栗の木ではミンミンゼミが鳴いている。7月の初段の昇段試験に通ってもらった認定書が額縁の付いた額に入って机の前に置かれている。充実感を持って繁々と眺めていたが出かける時間が迫ったので鞄を持って階下に降りた。母に声を掛けてから駐車場で自転車の後ろについている荷台に鞄をゴムの紐で括りつけてから出発した。3-3の教室に入る前に本山と会って「おっ」と目で挨拶してから教室に入った。大平先生のホームルームの時間が終わって1時間目は田村先生の国語だった。田村先生は野球部の部長をしていて低音の改まった感じで話す、もうすぐ中年の先生だ。今は江戸時代の川柳などのところを勉強していて、教科書に載っている有名な句を皆で読んだ。「太平の眠りを覚ます蒸気船たった四はいで夜も眠れず」。先生は生徒にA4を半分に切ったわら半紙を生徒に配った。「今日はテーマを決めて皆で1句詠んでみよう。」と先生は言った。テーマは夏も近づくよさこい祭りに関してというものだった。よさこい祭りは年と共に規模が拡大してきて、音響設備の発達とともに交通規制や騒音に対する市民の苦情などもあって、その存在意義やあり方が問われており、今のような祭りは今年を待たずやめた方がいいという声もあるということであった。そこで中学生としてよさこい祭りの存否や思いを1句綴ってほしいということであった。生徒は皆思い思いに鉛筆をなめなめしながら句を捻っていた。みんなが書き終わると先生は端からわら半紙を集めて回った。先生は40枚近いわら半紙を振り分けながら読み終えた。わら半紙は3つか4つに分けられていたがその中の1枚を読み返し、「ほお・・」と言って取り出した。先生は先生が選んだ3句を黒板に書きだした。1席は本山の句だった。1席「もうないか よさこい祭り 子沢山」。下の句がないが、どこかもの悲しさを漂わすこの秀句をめったに学校に来ない本山がものにしたとは。先生は本山に「学校に来いよ!」と優しく言って、句の講評を待たず授業を進めた。 2時限目英語の森先生が首を振りながら英文を丹念に黒板に書き込んでいる時、僕の席の右前にいる渡辺さんが手を挙げて気分が悪いですと言った。僕は保健係だったので1階の土間のところにある保健室に付き添って行った。保健室をノックして入ると保健婦さんをはじめ教務主任の南渕先生や製薬会社のプロパーの河野某など集まって話をしていた。待っている間話を聞いていると最近全国的に感染拡大が噂される新型の風疹の検査の話だった。数年前風疹が全国的に流行った時僕も風疹に罹ったが、予防接種は数十年持つという話だったのに。予防接種をする前に罹っているかどうか検査をした方がいいということだった。ところが新型ということで検査は標準化されてはいるがウイルスの検出精度はゼロコンマの後ろにゼロが果てしなく続くほどだとプロパーの河野某は嘯いていた。他の職員たちがたとえ精度はゼロでも生徒が安心できればなどとごちゃごや言っていたが、南渕先生の「検査をやめれ!」と大きな声が響き渡ると保健室 内がシーンと静まってウイルスの話は収束した。渡辺さんは保健室のベッドでしばらく休むことになったので僕は教室に戻った。学校が引けて家に帰ると郵便ポストに綜芸塾から7月の初めに受けた高校入試の模擬テストの結果が届いていた。急いで3階に上がって、封を切り中を見た。綜芸塾での模擬テストは2年の夏期講習に続いて2回目だが、前回は15位ランクイン、今回はなんとランク外であった。総合点396点、276人中35位。ランク表を見ると同じクラスの松山の秀才安芸君が2位、森下君が8位、以前は僕より成績が下だった谷君が20位だった。しかし、志望校の高知高専は合格圏内だった。やはり、買い食い外食や部活さぼりなどの生活の乱れが直接成績に反映しているのだろう。引き締めないと思いながら脳裏には農業の養豚が見え隠れした。

お知らせ

遅いパソコンのスピードアップ!!

性能が低いHDDからSSHDやSSDに

ディスクのクローンで丸ごと引っ越し

OSの起動スピードが速くなる