モッツアレラチーズ2 拾参

高知県地方は梅雨に入って雨がザーザー降っていた。5時限目の保健・体育も雨で自習になった。男子はソフトボール、女子はバレーボールの授業の予定であったがクラスで話し合うでもなく自然に講堂でバドミントンをする組と校内の廊下で鬼ごっこをする組に分かれた。僕は成り行きで鬼ごっこをする組に入れられていた。男女2人が1組ですることになった。僕の相手は京女風の顔立ちを持つ長身の鈴木かほるだった。最初の1本目は僕が逃げた。僕は運動会で紅白責任リレーの選手に選ばれるほどの俊足ではなかったが、1年生の時クラスマッチではリレーのアンカーに選ばれ6位から一人宮脇を抜いて5位になるほどの足である。僕が逃げ始めて、最初は追いつかれるはずがないと確信があったのでゆるゆると走っていたが、鈴木かほるはすぐに追いついてきて肩を叩かれそうになった。僕はタッチをかいくぐって全速力で逃げた。しかし差を広げようとしても一向に広がらず土間のところでスピードを落とした時にポンと肩を叩かれた。追いかけるほうに回っても鈴木かほるは授業時間が終わるまで捕まらなかった。50メートル走7秒フラの僕が同学年の女子よりも鈍足とは。足の長い女は足が速いとこの時初めて知った。こんなはずじゃなかったに。1日の授業が終わって部活に向かう足取りは重かった。悄然とした気持ちはなかなか高揚せず、部室に行って胴着に着替えて講堂に向かった。今日は県体の出場選手3年生を除く残り5人を決める試合をした。1年生でも小学校の時道場に通っていた生徒もいるので1,2年生7人で争った。僕は体育の時間のことが影響して、講堂へ入った時からいつもの調子を崩していた。手拭いをうまく頭にかぶれなかったり、蹲踞の姿勢がぐらついたりしていた。選抜の試合に入ってもいつもの集中力が弱っていた。僕の1戦目の相手は1年生の西森だった。互いに中段に構え、鍔迫り合いがあって、ちょっと離れてから西森が面を打ちに前進ところを下がらずに1歩踏み込んで突いた。喉元に突きが入り、西森はしりもちをついた。中学校では突きは技の中に入っていないので無効である。審判をしてくれているOBの京島先輩から、禁じ手だと注意があった。西森は突きを食らって戸惑っていたのであと簡単に面を1本取れた。2戦目2年生の野間との対戦でもなかなか集中できず野間のトリッキーな動きに翻弄されて、だらだら逃げていたが土壇場で小手を抑えられて敗れた。結局、1勝1敗で県体には補欠でも出場できる見通しとなった。部活が終わり、家に帰っても何か釈然としない気持ちが残った。3階に上がると父が自室でお題目を上げていた。弟はすでに帰宅しており、部屋で机にワークブックを広げたまま、自分が撮影した鳥の写真のアルバムを捲っていた。僕は学習机の椅子に座って、父が上げているお題目に心を漂わせると不思議に平常の心を取り戻せるような気がした。

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