モッツアレラチーズ2 漆

もう2学期が始まって1ヶ月経つ。クラスの中でもよく話をする生徒もできてきた。しかし、学校を離れて付き合いのある生徒は1人もいない。ほとんど日常は家族4人でしか話すこともなく、夏休みなどに南国市にある祖父母のいる母の実家に遊びに行くぐらいである。友達がいない分、我を分け合うことがないので個を確立しやすいのかもしれない。それぞれの教科の勉強は常識や、正しい認識と判断に必要だと考えていたので大事にしていた。とはいうものの高校や大学の受験は意識をしていなかったので学習の対象は教科書の範囲を超えるものではなかった。部活でしている剣道はまだ始めてから6か月しか経っていないが、単に若いエネルギーを発散するためのスポーツとしてではなく、礼を尽くす美しい立ち振る舞い、動揺しない安定した精神力、研ぎ澄まされた神経など日本固有の武道の持つ鍛えを期待し始めていた。今日秋の市の体育祭の選抜メンバー7人が発表された。僕は選考の試合で2勝できたので補欠ながら選抜メンバーに選ばれていた。部活から永国寺の家に帰って、3階の部屋にいる父に試合で着る剣道着を作ってもらえるよう頼んだ。部屋には日蓮法華宗の道友である三谷さんが来ており、かなり熱のこもった議論をしていた。自分の部屋に戻ってからもはっきり聞こえるぐらいの声で議論をしていた。僕は父の信仰が精神の安定性とか気迫という意味で剣道と相通ずるものがあると感じていたので三谷さんと父の話によく聞き耳を立てていた。「三谷さんは今日の御住職の話をどうお考えですか。折伏をする際に、まず具体的な決意をしなさいというお話には違和感があるのですが」「今の御住職が出家する前はご生家が当宗の下護の団体である昇華学会だということはご存じでしたか。」「いえ、存じません」「昇華学会の第2代会長の坂田城外は数学的素養のある人で、数学で用いられる推論方法としての演繹法を仏法に応用して折伏における演繹的手法を編み出しました。この手法は折伏に際して、まず具体的に相手方を折伏するという決意をし、その決意を基にしてご本尊に祈る。また、その結果即ち折伏の成就から必要な条件を逆算して結果を出すというものです。御住職はおそらく、折伏においてこの手法を基にして話をしているのでしょう。」「決意が固まっていないのに最初から決意をするというのは不自然だとは思われませんか」「演繹法は結果に向かって仮説的原理に従い条件を揃えていこうとする考え方なので、自然な折伏の流れを大切にするというよりは原理的に無理にでも道筋を立てていくものだと思います。そのほうが結果を出しやすいですから。」「自然な信心を望んでいる人には違和感があるかもしれませんね。」「昇華学会はこの坂田城外の手法で何百万という信者を獲得していますからね。」。「三谷さんはご僧侶に対して、いい法話ということで、どういうものを期待されますか。」「やはりご本尊様に対する信を厚く、深くしてくださる話だと思います。」話の内容は僕にはよくわからなかったが、父の御住職の指導に対する不満げな様子が見て取れた。

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