モッツァレラチーズ13

年も押し詰まって、12月30日になった。学校は冬休みに入り、進学塾の冬期講習などもあったが、私立中学に進学するつもりもないので行かないことにしていた。朝、朝食を取ってから、子供部屋と3階の廊下の掃除を済ませ、ソファでいつものように父のアトリエから借りてきたシュールレアリズムの画集を眺めていた。1階から母が私に声をかけた。同級生のTさんから電話が掛かっているとのことであった。私には友達と呼べる人がいなかったので、電話が掛かってくることはほとんどなく、少年野球の誘いぐらいであった。Tさんは私と同様に友達がおらず、いつも教室の片隅で漫画を読んでいた。互いに、同級生の中では浮いた存在で、いつも1人だった。Tさんは電話で私に誘いをかけた。年明けの1月4日に吉田町のスケートリンクにスケートをしに行かないかという誘いであった。私はスケートをしたことがなかったし、あまり体を動かすことが好きではなかったが、Tさんは興味深い人柄の人ように思えたので、即座にいい返事をした。吉田町のスケートリンクはそれほど規模の大きいものではなく、2階建てで、2階は観覧席になっていた。1階のフロントでスケート靴を貸し出してもらい、1時間300円でスケートをすることができる。スケート靴はフィギュアとホッケー、スピードの3種類があり、それぞれスケート靴の刃の長さが違っている。Tさんとスケートをしに行っても、氷の上で歩くのがやっとだろうと思ったが、Tさんと少しは話ができるかもしれないので、楽しみができたように思えた。午後、昼食を済ませて、3階の子供部屋で冬休みの宿題を片付けていると、父が入ってきて私に声をかけた。大会社の重役をしている叔父から父に肖像画の依頼があったとのことであった。私は数年来土佐市にある叔父の家に行ったことがなかったので、久しぶりに行かないかということであった。いつもであれば父の車で行くところであるが、あいにく定期点検に出しており、母の車も母が仕事で出ているので私は堺町からバスで行くことにした。父はダックスというホンダの原付バイクで出かけた。土佐市の叔父の家の門のところで、原付バイクですでに到着していた父と落ち合った。永国寺町の自宅よりも3倍は広い敷地で、300坪ほどはあると思われた。門柱にところにあったインターホンで連絡を取り、1階の応接室に通された。私は父と共に叔父の話を聞いた。叔父の話は叔父勤めている会社の社長の肖像画を30号程で描いて欲しいという依頼であった。話の途中でお茶とバウムクーヘンを出してもらって食べた。叔父と父の話はほぼ着いたようであった。1号5万円として、50万円ほどの仕事になりそうであった。帰り、叔父の家の門を出てから父と一緒に歩いてバス停まで行くことになった。父はバイクを突いて、私と一緒に歩いて行った。バス停のある通りに入ったが、その通りは人通りが全くなく、車も1台も走り抜けておらず、静まり返っていた。原付のダックスは割合重量があり、父は突いて歩くのが大変そうであった。人通りが全くなかったので、父はまず安全だと考えて私を後ろに乗せて、100メートルほど先のバス停まで行くことに決めた。私を乗せて、10メートルほどバイクが走った時、後ろからスッとパトカーが現れ、私と父を乗せたバイクの前に止まった。父はパトカーから降りてきた警察官の質問に答え、青い切符を受け取った。静まり返った通りからパトカーは消え失せた。これは警察のモッツァレラチーズである。警察は税金のしわ寄せを父に食わせた。バス停まで私と父は歩いて行き、バスの到着時間を確かめてから父はバイクをキックした。だが、バイクは何度キックしてもエンジンが掛からなかった。父はバイクを突きながらバス停を後にした。

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