モッツァレラチーズ4

その日私は学校の授業を終え、永国寺町の自宅にいた。放課後、同じクラスの生徒に誘われた時はドッジボールをしたり、キャッチボールをしたりすることもあるが、誘われなければまっすぐ家に帰る。家に帰ると、宿題などの学校の勉強をしていたが、教科書と学校で用意されたワークブックのほかの教材は何も使わなかった。宿題を済ませ、簡単に明日の予習をした。小学校の教科書は大きい字で書かれていて薄かったので、1教科ごとの勉強量は少なくて済んだが、教科数が多いので予習には2時間ほどかかった。弟はすでに帰宅していて、窓際でジグソーパズルをはめ込んでいた。このジグソーパズルは先月の弟の誕生日に父が買い与えたものだが、1000ピースほどの絵画のパズルで、小学1年生にとってはハードルが高すぎるようであった。私も興味があったので少し手伝っていた。父が帰宅してきて、3階のアトリエに上がっていった。明日は父の絵画の個展のために、運送屋が搬入に来る予定だった。父は一往画家といってよかったが、絵はあまり売れていなかった。父は、キュービズム特に、ジョルジュ・ブラックの影響を受けている抽象画を描いていた。馬をモチーフにしており、デザイン化あるいは抽象化するのに腐心していた。私は3階の子供部屋の向かいにある父のアトリエのドアをノックして、部屋に入った。父は今度の個展に出すための絵画の中で一番出来のいい作品を椅子に座って眺めていた。その絵はシックな色調で描かれた抽象画で右隅に見事に馬のデザインが溶け込んでいた。父はこのお気に入りの油絵のキャンバスを大事そうに手で押さえながら眺めていた。突然、部屋にあった電話が鳴った。搬送業者からの連絡だった。もう話は付いているはずなので、余計な電話のように思えた。話が終って、父は受話器を置いた。すぐ父は思いついたように父がお気に入りの馬の絵の配置を変えようとして、絵をスタンドから外そうとした。エネルギーが有り余って、絵を振り回してしまい、キャンバスが傍らにあった机の角に当たって少し破れた。これは運送業者のモッツァレラチーズである。運送業者は有り余ったエネルギーを父にしわ寄せした。翌日父は少し破れたお気に入りの作品を搬入に来た運送業者のトラックに最後に積み込んだ。

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