モッツァレラチーズ3

その当時、私はあまり趣味がなかった。小学3年生といえば活発に運動している生徒が多かったが、私はあまり多動ではなく、エネルギー不足である。スポーツは休み時間や放課後などに同じクラスの生徒に誘われて、ドッジボールをしたり、休みの日に少年野球の欠員補充に駆り出されるくらいのものだった。その日も追手前小学校の選抜チームと小高坂小学校のブラックジャガーというチームの試合があって、私は交代要員として参加することになっていた。試合の場所は大原の市営補助グラウンドであった。朝から父の体が空いていたので、車に乗せてもらって補助グラウンドに出かけた。グラウンドの前の駐車場で車から降りて、父と2人でグラウンドに入った。そこにはすでに10人ほどの小学生が集まって、キャッチボールなどをしていた。1塁側が追手前小学校のベンチであったので、そこに父と2人で腰をかけた。試合開始前の9時には追手前選抜と小高坂ブラックジャガーの選手合わせて23人が集まり、シートノックのの後、試合が始まり、ホームベースを挟んで両チームの選手が顔を合わせた。ブラックジャガーの選手はおそろいのユニホームを着ていたが、追手前選抜のほうはばらばらの服装をしていた。私はトレパンとトレシャツという格好だった。私は3回から8番ライトで出場することになっていた。試合の回は流れた。両チームとも5年生の投手で好投しており、3回途中まで2対0でブラックジャガーがリードしていた。3回から私が入るとすぐに打順が回ってきた。試合途中、ずっとブラックジャガーのA投手の投球を観察していたが、投げる球は2種類で、伸びのいいストレートと鋭く、大きく横に曲がるカーブを投げていた。ストレートの確率が高かったが、5年生らしくスピードがあって重そうな球でうちづらそうだった。カーブは鋭く、大きく横に曲がるが、私はこのカーブの欠点に気が付いていた。大きく横に曲がりすぎるので、ストライクゾーンに球を集めようとすると、打者にぶつけるぐらいの角度で投げなければならないからである。私は打席に入って、2球ボールを見逃した。1-1のカウントになった。次の球はカーブだった。ぶつかりそうな角度で入ってきた球が鋭く、大きく曲がって、アウトコース低めにコントロールされた。私は、思わず腰を引いてしまったのでストライクゾーンに入ってきた球を打つことができなかった。2-1のカウントになった。3球目がストレートの場合、3振すると観念していた。投じられた4球目はカーブだった。同じようにぶつかりそうな角度で入ってきた。私は、腰を引かずに球を呼び込んで、軽くミートした。ライナー性の当たりが1,2塁間を破り、ライト前に転がった。私は息を切らせながらファーストベースに駆け込んだ。試合も終わろうとしていた時、同じクラスの生徒の父兄が父に声をかけた。父はベンチから立ち上がって、歩み寄り、二言、三言挨拶をしていた。父はベンチに戻った。試合が終わって、ベンチから立ち上がった父のきれいにラインの入った綿パンッのお尻にピンクのチューインガムが付いていた。私は父に言おうかどうか迷ったが、帰り車の座席が汚れることを考えて父に注意を促した。父はちり紙で少し苦労しながらチューインガムを取り除いたが少し残った。これは生徒の父兄のモッツァレラチーズである。生徒の父兄はイライラのしわ寄せを父に食わせた。父と私は車に乗り込んだ。父は尻にちり紙を敷いて運転し、帰路に就いた。

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