モッツァレラチーズ2

当時、朝夕の食事は家族4人が揃ってしていた。その日も、父母と私、最後に弟が食卓について朝食をとることになった。朝食とお弁当は女中のKさんが準備をしてくれていた。朝食は和食の時もあったが、サンドウィッチと飲み物だけの簡単なものが多い。食事中、私と弟は父母の質問に答える以外はほとんど口を利かなかった。父母は学校の勉強のことや日常のの暮らしぶりについて質問し、短い言葉で注意をしてくれる。父母は食事中、よく話をしている。だが、父が一方的に母に語りかけていて、母はうなずいたり短く答えたりするだけである。話しぶりから父が母を大事に思っていることが伝わってくる。母はほとんど父に関心がないふりをしている。母は家事をあまりしていない。Kさんにしてもらっている。母が病院に勤めているということもあるが、もともと炊事などがうまくできないからである。4人が揃って、朝食を取り始めた。玄関のチャイムが鳴って、父が席を立った。普通では考えられないほど朝早い小包の配達である。父はおしゃれな人で家にいる時もきちんとした身なりをしていた。この日も紺の半ズボンに当時流行していたVANのグレーのポロシャツを着て、ウェリントンの黒ぶちの眼鏡をかけていた。父は近視ではなかったので度の入っていない眼鏡である。父は小包をダイニングと床続きになっている応接間のテーブルに置き、席に戻った。サンドウィッチにマスタードを塗り、ケチャップを付けるためにチューブを押した。チューブから勢いよくケチャップが飛び出て、お気に入りのVANのポロシャツにかかった。父は落ち着いて、濡れたタオルを用意し、ケチャップをぬぐった。ケチャップはあらかた取れたが、シミが残った。これは郵便配達のモッツァレラチーズである。郵便局員は仕事のミスのしわ寄せを父に被らせた。食事が済んで、父はシミのついたポロシャツを着て3階のアトリエに向かった。

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